才が光放つ時

 日本の戦国時代。智略を総動員し天下に覇を目指そうとする多くの有能な武将たちの ストーリーは、今尚現代の私達に大変な魅力を与えてくれます。司馬遼太郎の『播磨灘物語』を今回は紹介したいと思います。主人公は豊臣秀吉の軍師、黒田官兵衛。以前、大河ドラマでV6の岡田准一君が演じていました。播磨(現在の兵庫県)の一介の武士・官兵衛が秀吉と出会い、その軍略や外交面でたぐいまれな才能を発揮。秀吉を天下人へ押し上げた人物です。この方ははっきし言って天才でしょう。周囲の人間から見れば偉才の持ち主です。

 

 官兵衛は播磨の一介の武士であった若かれし頃、「自分の構想で天下を動かしてみたい」と胸に秘めていました。これは昔も今も変わらない人間の感情です特に若者であれば共通の思いを抱くでしょう。「自分自身の持っている才能で何かできないか」「自分の能力で自己実現をしたい」「自分の才能を最大限に発揮したい」。

 しかし、このような才があり夢を描く人は周囲から冷たい視線を受けますし、「あいつは自惚れている」「あいつは目立ちたがり屋だ」などの陰口もたたかれることもあります。そのような中傷を受けることによって、だんだんシボンでいってしまう人が多いのではないでしょうか。

 

 何もこのような天才の場合ではなくても、学校やクラブ、職場などで、あなたが頭角を現し始めると必ず周囲からの嫉妬を受けます。悪口であったり、嫌がらせであったり、もっとひどいとあなたを罠に陥れようと工作してきます。陰で彼らは密議を開き、あなたを「どうやって撃ち落とすか」「どうやって黙らせるか」「どうすれば大人しくさせられるか」など作戦を練り上げています。「じゃあ、お前はこの手段で行け!」「俺は、この手を使うからお前らはオトリになれ!」などなど様々な手段でやってきます。本当に、これでもか、これでもかと ”ここまでやるか?!” と感心してしまう程、彼らは策を講じてきます。

 ここまでくると、プロ野球のホームランバッターと変わりません。「どうやったら打ち取れるか」「いかにバッターにミスショットをさせてアウトにするか」、彼らは本気になってあなたを打ち落としにかかってきます。しかし、その攻撃をかわし、”ここぞ” という場面でホームランを打つことが出来たならば、あなたは周囲からさらに認められ出世していくこと間違いありません

 その ”ホームラン” が出るまでのあなたはハッキリ言って孤独です。苦しいと思います。しかし、この戦いに勝たなければ前進できません。勝つためには知恵を絞らなければいけません。それこそ軍師のごとく、どう戦い、相手の攻撃をいかにかわすか、どうやって駒を進めるか、冷静になって考える必要があります。場合によっては兵をたたみ、一時退却しなければいけない時もあります。

 

 「出る杭は打たれる」という諺があります。確かに周りから抜きんでていこうとすると、その者を引きずり降ろそうと周囲の人間は躍起になります。しかし、どこまでも突き抜け、抜きんでていった者に対しては、誰も口出しが出来なくなりますし、手出しが出来なくなります。限りなく自分を信じることです。そして、知恵をふり絞り勇気をもって前進していくことです。

参考文献

『未来の法』 大川隆法