カムバック アゲイン

 人生何かに何度トライしてもダメになってしまうことがあります。仕事であったり、恋愛、学業、または健康面に不安を抱えている方もいると思います。「また失敗した」「なんてツイていないんだ、自分は」「もうダメかもしれない」という考えが頭の中を何度も横切ります。そして挫折が積み重なっていき、自分自身が委縮していく感じになりますよね。ギブアップ寸前の方もいるかもしれません。でもそれではいけません。また立ち上がってください。でなければ本当に終わりになってしまいます。

 私も過去に大きな挫折が3度ほどありました。二十代半ば、三十代半ば、四十代前半です。全くの世間知らずだった二十代半ばは、周囲からケチョンケチョンにやられ挫折し、自信たっぷりの三十代は道半ば天狗になってしまい鼻が折れてしまいました。四十代も三十代と同じような原因でした。四十代の頃の、挫折から復帰までの時間は早かったと思います。やはり二十代、三十代の挫折から復帰までのプロセスからの教訓が大きく活きたのでしょう。二十代、三十代はカムバック(元気を取り戻す)までに、2,3年はかかりましたが、今回は三か月ほどの短い期間で戻りました。四十代、復帰までに多少「頭がボケたかな」という印象は否めませんでしたが、順調に進みました。

 挫折してしまい、「もうダメかも」という状態になったみなさんは、その勢いのまま生活サイクルまで乱れてはいないでしょうか。私が三十代の挫折時代がやはりそうでした。まず睡眠が乱れ始め、食事が偏り、おまけに運動不足になりました。精神面と健康面が完全に乱れ、それこそ毎日頭がボーっとした状態でした。読書が趣味であり、毎朝必ず英語の勉強をしていたのですが、それを怠け始めた途端自分の頭が劣化していくのがよくわかりました。生活が乱れ、気力も萎え、やる気を完全に失ってしまいました。ここからどう巻き返すか。以前のような元気な状態をどう取り戻すか。私がまず手始めに行ったのが、「体を動かす、運動をする」ということでした。これによって気分がかなり晴れてきます。仏教用語に「色心不二」という言葉があります。「精神と肉体、心と肉体は相互関係にある」という意味です。たとえば、過度のストレスを抱え込むと体に異変が生じてきます。これはみなさんも経験があると思います。逆に怪我や事故などで肉体の方が痛むと心もブルーになってくるということです。挫折時は精神面と肉体面の両者が乱れっていると思うので、まずは肉体面から配慮していく方が賢明かと私は思います。

 もちろん精神面からケアすることも可能です。挫折時は悩みがゴチャゴチャに乱れ、感情もゴチャまみれになっていると思います。この感情を平らかにしていくことです。感情に振り回されてはいけません。そして挫折、失敗の原因を静かにゆっくりと探し出してみて下さい。「なぜ、このような失敗に至ったのか」「何が原因だったのか」などをゆっくりと頭の中でめぐらせることです。感情的に悩んではいけません。理性的に冷静に考えることです。あなたがプロ野球のキャッチャーであるならば「なぜ、あの場面で打たれたのか」「自分の配球ミスだったのか」「もし配球ミスが原因ならば、もっと良いリードが出来たのではないか。また、次回からはもっと良いリードが出来るのではないか」と静かに反省してみることです。結局は失敗に至るまでのプロセスを分析していくことが大切になってきます。そして、そのプロセスを記憶することです。記録することです。もし次回厳しい場面に遭遇した時、その記憶、記録がきっと役に立つと思います。

 

 参考文献

『無形の力』 野村克也

『希望の法』 大川隆法

『常勝思考』 大川隆法