英文法を大切に

 英語講師の鳥飼玖美子さんは、「今の学生は語彙力がないので読み書きが下手なうえに、英語文法を知らない。主語や動詞がない英語を書く、現在と過去が判然しない、単数と複数の区別がつかない、いったいどうなっているのだろう、と英語教員は頭を抱えているようです」と鳥飼さんは話します。また「外資系企業に就職しても、報告書やメールなど文法をを知らなく英文が書けず、慌てて文法書を買ったという新入社員がいます」とのことです。

 英文法という言葉を聞いただけで急に顔をそむける皆さんの姿が見えます。私自身も中学、高校、大学受験と、英語はサッパリお話にならなかった。学校や塾での英語の授業の時は「時間よ、はやく過ぎ去れ!」と祈っていました。ですが今にして思うと、あー英文法は大切なんだなとシミジミ感じます。「英語を勉強しなさい」「英文法は大切だ」と何度も何度も力説していた昔の先生方の思いがようやくわかってきた今日この頃です。

 私はまだ英語教授経験がないので、あまり大きなことを言うことはできません。なので昔の私の英語マヌケ日記や大人になってからどんな感じで英語を学習していったかなどを述べてみたいと思います。

 

 「主語はどれ?」「動詞はどれ?」「目的語はどれ?」。当時、英語問題外生徒の私に塾の先生がよく浴びせてきた質問です。短くて単純な英文であれば、もちろん私でも何となくどれがどれかはわかりました。ですが、ここでの話は違います。皆さんも経験がありませんか?英文が複雑で長い文章になると頭が真っ白になってお手上げ状態になってしまう。アレのことです。当時の私もサッパリわからなかった。分からないから適当に思いついた答えを言って、それが先生の怒りを買いコテンパにいじめ抜かれたこともありました。私にもそんな苦い経験があります。

 少しテストしてみましょう。次の下線部で主語はどれですか?日本語訳は一番最後に載せます。

① Climbing  the  steps  with  Gaston  close  to  her  heels.  She  came  to  a  stop  and        turned  to  look  straight  at  him.  "  But  I'm  not  simple.  I'm  sorry,  but  I  will  never  marry  you  ,Gaston".       「BEAUTY  AND  THE  BEAST」 DISNEY  PRESS

 正解はstepsです。細かく見れば Climbing~with の分詞構文です。昔の私であれば「主語はGaston」という単純明快な回答をしていたと思います。

 

 次行きましょう。次の下線部で主語はどれですか?  

② If  you  dream  of  success  as  a  cosmopolitan,  you  mast  master   the  English  language.  Othewise  there  is  no  way  that  your dream  will   come  true.  

   The  key  to  your  activity  on  the  international  scene  depends  on  whether  you  can  master  English.          「Aiming  to  Become  a  True  Elite」 Ryuho  Okawa

 正解はkeyです。ちょっと難しくなりましたね。がんばりましょう。

 

 次です。次の下線部で目的語はどれですか?

③ Except  for  a  person  of  outstanding  talent,  everyone  will  be  faced  with  difficult  situation  soon  or  later.  What  should  we  do  at  that  time?

   The  recognization  that  we  have  reached  the  limits  of  our  skills  leads  to  the  professinal  road  many  difficulties  will  be  ahead  of  us.

                                                                       「Cultivate  The  Intangible  Power」

                        KATHUYA   NOMURA

正解は目的語はありません。なぜでしょう。ヒントは自動詞と他動詞です。

 

 ご苦労様でした。気を休めてください。どうでしたか?楽々わかりましたという方、ちょっと難しかったですという方や完全にお昼寝タイムに入ってしまった方など様々だと思います。現在お勤めの皆さん、現在学生の皆さん、ちょっと考えてみてください。中学、高校の英語の授業で複雑な英文を先生方が皆さんに説明する時、よく英文をカッコでくくったり下線を引いたりしてますね。そして先生方は「えー、これが関係代名詞目的語で、この目的語が前の名詞にかかり、つまりここからここまでが名詞節つまり主語であり、えーこの動詞は...」という感じで、英語の先生「必殺お経」が始まり、皆さんの頭は別の世界へ旅に出てしまいます。

 ですが、英文をカッコでくくったり下線を引いたりするこの作業を馬鹿にしてはいけないと思います。なぜならば、この作業を通して英文を文法的にバラバラに解体しなければ、文章を正確に読み砕くことが出来ないからです。正確に読み砕けないからアバウトな理解になってしまう。アバウトだから英文を読むことが出来ず、英文が書けず、聴き取れない。ましてや話すことも出来ないと思います。アバウトな理解の上に、先ほどの分詞構文や③の関係代名詞が英文に登場して、なおさらチンプンカンプンになってしまう。

 逆の立場で物事を考えてみてください。日本に滞在している外国の方で、日本語が何となくギコチない感じがする人と、あっこの方スゴイなと感じる人がいます。前者の方は、それこそアバウトで日本語を理解しているからです。ところが、テレビに登場する外国のコメンテーターの方などは、とても上手に話し、発音もキレイだし、それに日本のことを私達よりもよく知っています。相当勉強していると感じますよね。つまり、語学を中途半端な気持ちで勉強するのと、真剣な気持ちで勉強するのとでは雲泥の差が出てくるという事です。

 

 私が大人になってから英語を勉強しようと思い立った時、ある方に「英語はつまるところ5文型なんですよ」とアドバイスされました。書店で文法書を購入し読んでみると、あーなるほどと思いました。つまり、5つの文型が英文の型を作っているんだと30歳頃ようやく気付きました。そして、その英文の型のキーポイントになっているのが動詞なんだという事にも気付きました。それに気付いた私がまず始めた作業が

①まずその英文は第何文型か?

②その動詞は他の文型でも使われているのか?

これを辞書で徹底的に調べ上げました。詳しい辞書であれば、この動詞は第何文型で使われるのか。他の文型でも使われるのかが載っています。またその例文も載っていると思います。

 ①のその英文は第何文型かの対策として、私は5つのマーカーペンを用意しました。第1文型なら赤、第2なら青、第3なら緑、第4なら黄色、第5ならピンクといった具合です。その英文の冒頭や動詞にマーカーペンを引き、それこそ色分けして文型の違いを徹底的に理解していきました。そうすると見えてくるものがありました。言語学教授の大津由紀雄さんも話していますが、「文というのはいくつかの単語が単に左から並んで出来ているものではない。いくつかの単語は一緒になってまとまりを作っています」このことに、みなさんも気付き見えてくると思います。

 これが句や節と呼ばれるものです。そのまとまりに印をつけ整理していくのが先程の学校での作業です。「文を作っている単語がどのようにまとまりを作っているのかを、カッコでくくったりせず、どのくらい直感的にわかるようになるかが、みなさんの英語力向上のキーになります」と大津先生は話します。私は31,2歳頃から本腰を入れて英語学習に取り掛かりましたが、最初の1~2年はずっとこの作業を行っていました。マーカーペン片手に購入した文法書、辞書、英文原書とずっーとにらめっこしていました。お陰様で今は複雑な長文は怖くありません。文法は大切です。このことを肝に命じてください。

 ですが分詞構文や関係代名詞などハッキリ言って難しいです。最初は理解するのに本当に苦労すると思いますが、頑張ってみて下さい。それでもダメだったら、それこそ学校、塾、予備校の先生方に質問してみて下さい。英語が出来るクラスメイトに聞いてみて下さい。会社であれば英語が得意な上司の方や同僚、部下に聞いてみて下さい。「おー、どうしたんだ」とか「どーしたんですか!急に」とか喜んで教えてくれると思います。

(日本語訳)

①ガストンの忙しいステップが彼女に迫ってきた。彼女は立ち止まりガストンへまっすぐな視線を向けた。「私はそんな軽くはないの。悪いけどあなたとは結婚は出来ないわ、ガストン」

②国際人として成功したいなら、英語が出来なければ話になりません。みなさんが世界に通用するかしないかは、英語が出来るかできないかにかかっています。

③天才でなければ、誰でもいずれは壁にぶち当たる。その時にどうするか。自分の技術的限界を知ってから、本当のプロとしての戦いがスタートするのである。

 

 今回のブログでの参考文献です。もしよかったら参考にしてください。

『本物の英語力』 鳥飼玖美子

『英文法の疑問』 大津由紀雄

美女と野獣』 DISNEY  PRESS

『真のエリートを目指して』 大川隆法

『無形の力』 野村克也