ボキャブラリーアップ
電車の中やホームで英単語の勉強をしている学生を見ると、思わず偉いなと感じます。私が学生時代そんな立派な行為をした記憶がないので尚更です。先日書店で大学赤本を見てみました。もちろん英語です。はっきし言って難しいですよね。何が難しいか。長文で扱っているテーマです。政治、経済、文化。現在はコロナが流行っているのでコロナ社会問題を扱っている大学もありました。どうですか?英単語を学習して例えば長文問題を解くことが出来ますか?多分難しいと思います。何故だと思いますか?それは先ほども言ったように扱っているテーマが難しいからです。政治、経済を日本語で勉強しても難しいのに英語で理解するのはもっと難しい。つまり単語を知っていても長文に出題されるテーマ、政治なり経済などの周辺知識がなければいけません。でなければ、せっかく覚えた単語も焼け石に水です。
このようなたとえを挙げれば幾らでも出てきます。私の手元にある洋書から見てみましょう。今回は英文、日本語訳同時に出します。次の文書を読んで何のことだかわかりますか?
At two o`clock in the morning they set out , marching silenttly through deserted snowy streets. Of Asano's more than three hundred retainer's , the burden of revenge fell on these forty-seven.
『午前二時に出陣した彼らは、人影がない、シンシンと降り注ぐ雪道を静かに行軍した。300人以上いた浅野家家臣のうち、吉良仇討の任は、この四十七士の肩にかかっていた』
吉良邸討ち入り寸前のあのシーンです。赤穂浪士の映画、ドラマ、劇を観たことがある方ならば、すぐに情景が思い浮かぶはずです。ですが、「そもそもアコーローシって何?」とか「キラ亭?どんなお店だろう?」とか言っている時点で試合終了です。
次行きます。
Keyboad players usually take their bearing from middle C : the C nearest to the center of the keyboard.
『キーボードプレイヤーは指をたいてい ミドルC に配置する。つまりキーボード中央に位置するCのことである』
音楽知識がある方、それこそピアノを弾いている方であれば、すぐにピンと来ると思いますが、分からない人には分からないはずです。ちなみに「C」とは音階のことです。日本音階のドレミの「ド」のことで、「ミドルC」とはキーボード上の中央に位置する「ド」のこと。つまり、キーボードプレイヤーは演奏時、その中央の「ド」に指を配置するケースが多いという意味です。
最後です。
Ben looked up at the threatening thunderclouds and handed the kite to William. " Run down the meadow , son," he said, " and let's get this contraption into the air."
" Look! " Ben shouted to William. " Its's beginning to work."
This was a great moment in the history of electricity.
『ベンは今にも荒れ狂いそうな雷雲を見上げ、カイトをウィリアムに手渡した。「この草原を駆け下りていくんだウィリアム。そしてこの器具を宙に放り込め!」と息子のウィリアムに言った。
「見ろ!作動し始めたぞ!」とベンは大きな声でウィリアムに叫んだ。
これは電気学の大きな歴史的瞬間だった』
これも知らなければ何を言っているのかチンプンカンプンなはずです。「ベン」とは人名で昔のアメリカの偉人であるベンジャミンフランクリンのことです。マルチな才能で18世紀アメリカ社会に大貢献した方です。この英文は「電気と稲妻は同質のものだ」というベンジャミンフランクリンが行った実験の一部始終です。この実験のおかげで、私たちの現在の電気文明があります。ちなみに私は、この洋書を読む前まではベンジャミンフランクリンが発明家であったことを知りませんでした。私の中では、この方は詩人というか哲学者のようなイメージがあったので、あっ、そうだったんだ!と驚きました。ベンジャミンフランクリンを知っている人と知らない人とでは、読んでいる文章への理解力がまったく違ってきます。
もっと身近なものでTOEICを例に出してみましょう。私は今まで正式なかたちで会社勤めの経験がないので、リーディングパートで社内メール、報告書とか公共サービス申込書、申請書なんていう類の問題を出されると正直キツいんです。それこそ英文を文法的に理解でき、ある程度単語の意味が分かったとしても、その文章自体、何を言っているのかサッパリわからない。20代後半くらいに初めてTOEICを受けたんですが、お恥ずかしい話その当時は「経理部って何をするの?」というレベルでした。申込書、申請書なども、そのようなものを扱った経験がないので、それこそチンプンカンプンになってしまう。リーディングパートでこれだけ苦戦するのですから、ヒアリングパートでこのような類の問題を出されたら完全にアウトになります。
今このようにブログを書いていますが、私はパソコンが苦手なんです。最近少しずつ勉強していますが、まだ全体像が見えていません。なのでパソコンに関する洋書を読んでくれと頼まれても無理だと思います。なぜならばパソコンの知識がないからです。
いろいろ述べてきましたが、最終的には「知識・教養」がキーポイントになります。全く知識のないことに関する英文を読むことは出来ません。少しずつ少しずつ知識・教養の幅を広げていくことが大切です。
参考文献
『 JAPAN through writer's eyes 』 ELIZABETH INGRAMS
『 THE AB GUIDE TO MUSIC THEORY PART1 』 ERIC TAYLOR
『 BEN FRANKLIN of Old Philadelphia 』Landmark Books